巨匠の道具と手仕事
こちらでは、実際に印鑑を作成する工程と、その際に使用する道具をご紹介いたします。
巨匠の道具と手仕事
墨打ち
墨打ちとは筆入れ前に墨を印面に打つことです。筆入れの黒墨と下地となる朱墨のコントラストで下書きとなる印影イメージがはっきりとします。
字入れ
印面に文字を書きこんでいきます。当りとなる線を描いた後に、太さのイメージを固める為に線を重ねて行きます。この段階では完成形を書くのではなく、イメージを作る為の下書きとして書き込んでいきます。完成形を作るのは彫刻段階で調整していきます。
[硯、墨、筆]
字入れでは硯、墨、筆を使います。粘りが出るように念入りに墨を擦りあげます。字入れでは細かな文字を書きこむので、思い通りに書ける筆と、印面に馴染む墨を選んでいます。
粗彫り
字入れで書きこんだ墨を削らないよう、朱墨の部分を彫り進めて行きます。ここでは文字部分には触れずに、凹となる部分を先に削り込んでいきます。ある程度削り終われば朱墨と黒墨を削り落とし、黒墨を印面に打ち込みます。
[篆刻台]
印材を固定する為の台です。板木を当てて梃子の原理で彫り進めて行きます。その為、使い込まれた板木にはキズがついており、これまでの彫刻の歴史として刻みこまれています。
仕上げ
いよいよ文字の形を作りあげていきます。ここでは職人のインスピレーションによっては下書き通りには作らず、大胆な変更を加える場合もあります。
[印刀]
印面を彫る為の専用刀です。工程ごとの繊細な手仕事を実行する為に、細かな違いのある印刀を複数使います。印刀は職人の魂でもあり、入念に手入れし、研磨することで渾身の技を振るう事ができます。